
今日は、
何も残らなかった夜だった。
出勤して、ドレスに着替えて、
鏡の前で髪を整えた。
「今日はちゃんとやろう」
理由は特にないけど、
なんとなく、そんな気分だった。
フリーには何卓かついた。
会話は途切れなかったし、
お客さんも優しかった。
笑ってくれてたし、
空気も悪くなかったと思う。
でも、
新しい約束は、特にできなかった。
盛り上がってないわけじゃない。
ただ、
“何かが動く感じ”じゃなかった。
近くの席で、
「場内入りまーす」って声が聞こえた。
軽く拍手が起きて、
誰かが「おめでとう」って言ってた。
私は、
グラスを置いただけだった。
営業が終わって、
更衣室で私服に着替えた。
ドレスを脱いで、
バッグを肩にかけたくらいのタイミングで、
スマホが震えた。
さっきついたフリーからだった。
「営業後、アフター来れる?」
担当マネージャーの声が、
頭の中でよぎった。
「アフターは、積極的にどんどん言っていいからね」
でも、
同時に、
先輩が前に言ってた言葉も浮かんだ。
「雑に誘ってくる人って、
こっちのこと大切に思ってないよ。
そういう人のアフターは、
先行投資じゃなくて消耗だから。
せっかく行っても、
返してくれないこと多いよ」
さっきのその人、
ドリンクもくれなかった。
途中で、
違う子を場内してたのも見た。
多分、
アフター断られて、
代わりに私を誘ったんだと思う。
そう考えたら、
急に、
どっと疲れた。
正解が分からない夜って、
こんな感じなんだな、って思った。
でも、
来月から保証、切れるんだよな。
何かは、
行動しなきゃいけない気もする。
今日は、
違うお客さんで頑張ろう。
そう思って、
そのLINEには返さなかった。
結局、
今日は何も増えなかった。
次の日も、
のんは、
いつも通りの時間に出勤していた。
👉 頑張ってるのに指名が増えないキャバ嬢へ|原因は“努力不足”じゃない


コメント