
キャバクラで“選ばれる客”というと、
話が面白い人、ノリがいい人、場を盛り上げる人――
そんなイメージを持つ人は多い。
でも現場を見ていると、
実際にキャストから大事にされ、
「また会ってもいい」と思われている客は、
必ずしも会話が上手いわけでも、派手なことを言うわけでもない。
むしろ逆だ。
彼らは、あることを“やっていない”。
それも、かなり無意識に。
1つ目|関係を“確定”させようとしない
選ばれない客ほど、
無意識に関係を前に進めようとする。
・今日は楽しいか
・俺のことどう思ってるか
・次も来てくれるか
言葉に出さなくても、
その“確認の圧”は会話の端々に滲む。
一方、選ばれる客は違う。
今の空気を
今の距離感のまま置いておく。
関係を決めにいかない。
答えを取りにいかない。
「今日は今日でいい」
そのスタンスが、キャストの感情を安全にする。
2つ目|会話を“盛り上げよう”としない
盛り上げようとする行為は、一見すると親切だ。
でもキャバクラでは、それが逆に作用することがある。
・沈黙を怖がる
・間を埋めようとする
・常に何かを話し続ける
これはすべて、
自分の不安を解消するための会話になりやすい。
選ばれる客は、
盛り上げない。
静かな時間があっても気にしない。
キャストが話さない瞬間を、奪わない。
「楽しい」より「楽」。
この違いが、想像以上に大きい。
3つ目|評価されようとしない
これは一番、無意識でやりがちな部分だ。
・面白いと思われたい
・気の利く客だと思われたい
・好かれたい
こうした気持ちは自然だ。
でも、それが前に出ると、会話は“試験”になる。
キャストは無意識に、
「正解を返さなきゃいけない空気」を感じ取る。
選ばれる客は、評価を求めない。
ウケなくても引かない。
反応が薄くても詰めない。
自分の価値を、相手の反応で測らない。
その余裕が、
キャストにとっての安心になる。
3つに共通していること
ここまでの3つには、
ひとつの共通点がある。
それは――
相手の感情を動かそうとしていないということ。
皮肉な話だが、
感情を動かそうとしない会話のほうが、
結果的に感情は動く。
安全だからだ。
消耗しないからだ。
問題は、センスでも才能でもない
ここまで読んで、
「じゃあ俺には無理だ」と思う必要はない。
これは
センスの話でも
才能の話でもない。
構造の話だ。
多くの男は、
良かれと思ってやっていることが、
無意識に“選ばれない側の構造”に入っているだけ。
逆に言えば、
構造を知れば、余計なことをしなくて済む。
最後に
選ばれる客は、
特別なことをしていない。
ただ、
やらなくていいことを
やっていないだけだ。
黒服として現場に立つ中で、
この違いは感覚ではなく、
型として整理できるものだと分かった。
――それをどう理解するかは、また別の話になる。


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