【ズボラ新人キャスト・のん物語①】何も残らなかった夜

ある夜の分岐点

今日は、
何も残らなかった夜だった。

出勤して、ドレスに着替えて、
鏡の前で髪を整えた。
「今日はちゃんとやろう」
理由は特にないけど、
なんとなく、そんな気分だった。

フリーには何卓かついた。
会話は途切れなかったし、
お客さんも優しかった。
笑ってくれてたし、
空気も悪くなかったと思う。

でも、
新しい約束は、特にできなかった。

盛り上がってないわけじゃない。
ただ、
“何かが動く感じ”じゃなかった。

近くの席で、
「場内入りまーす」って声が聞こえた。
軽く拍手が起きて、
誰かが「おめでとう」って言ってた。

私は、
グラスを置いただけだった。

営業が終わって、
更衣室で私服に着替えた。
ドレスを脱いで、
バッグを肩にかけたくらいのタイミングで、
スマホが震えた。

さっきついたフリーからだった。

「営業後、アフター来れる?」

担当マネージャーの声が、
頭の中でよぎった。
「アフターは、積極的にどんどん言っていいからね」

でも、
同時に、
先輩が前に言ってた言葉も浮かんだ。

「雑に誘ってくる人って、
こっちのこと大切に思ってないよ。
そういう人のアフターは、
先行投資じゃなくて消耗だから。
せっかく行っても、
返してくれないこと多いよ」

さっきのその人、
ドリンクもくれなかった。
途中で、
違う子を場内してたのも見た。

多分、
アフター断られて、
代わりに私を誘ったんだと思う。

そう考えたら、
急に、
どっと疲れた。

正解が分からない夜って、
こんな感じなんだな、って思った。

でも、
来月から保証、切れるんだよな。

何かは、
行動しなきゃいけない気もする。

今日は、
違うお客さんで頑張ろう。
そう思って、
そのLINEには返さなかった。

結局、
今日は何も増えなかった。

次の日も、
のんは、
いつも通りの時間に出勤していた。

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